事例紹介

CASE 01

  • 北海道江差町
  • サツドラホールディングス

地域コネクティッドビジネスが、
北海道を、日本を変えていく

サツドラホールディングス(以下、サツドラHD)は、創業から掲げてきた経営理念「健康で明るい社会の実現に貢献する」に加え、2019年7月に新たなビジョンを打ち出しました。それは、「ドラックストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ」。人口減少や超高齢化社会をはじめとした様々な社会課題の先進地域である北海道で、サツドラHDのあり方を表すこの言葉は、小売業に留まらず、ドラックストア店舗を起点として地域に関わるあらゆるヒト・モノ・コト・をつなぎ、未来を創造していこうという概念です。

2020年3月、サツドラHDは江差町と包括連携による協働事業に関する協定書を締結しました。互いの資源と特色を活かし、地域活性化と住民サービスの向上に役立てることを目的とし、様々な取り組みを行ってきました。

協定にもとづく主な取り組み

  • 「江差EZOCA」によるポイントを通した地域連携
  • サツドラウォークを町の推奨アプリとして活用
  • 高齢者のためのスマホ教室の実施
  • オフラインとオンラインでのフィットネス講座
  • サツドラの管理栄養士による栄養相談
  • 新型コロナウイルスに対するワクチン接種に関する薬剤師支援

締結から約1年後の2021年5月には、「江差EZOCA」の運用を開始。江差EZOCAを使って全道のサツドラで買い物をすると、その金額の一部(0.2%)が江差町へ還元されます。加えて、江差町内の商店や飲食店44店舗(2021.10現在)を含む、全道のEZOCA提携店で利用できるポイントが貯まったり、使えたり、貯まったポイントを共通お買い物券に交換することも出来ます。

今回、江差町町長の照井誉之介氏と、サツドラHD代表取締役社長兼CEOの富山浩樹が、地域コネクティッドの取り組みについて、対談しました。

Person:各発言者の表記方法は次のとおり記載しています

  • サツドラホールディングス株式会社
    代表取締役
    富山 浩樹

    富山

  • 北海道江差町
    町長
    照井 誉之介

    照井氏

※ 所属、役職等はインタビュー当時のものです

人口7000人の町で発行枚数5000枚を誇る江差EZOCA

まちづくりをしていく上で、江差町が抱えていた課題感を教えてください。

照井氏: 江差町は、65歳以上の高齢者の割合が人口の40%近くを占める、人口減少が北海道の中でも激しい地域です。一方で、周りの町村の商業機能を担っている地域でもあり、「行政だけでなんとかしよう」と言っていられない状況でした。どうやってまちづくりをしていこうかと模索していた中で、人口減少や商業機能の縮小を止めるため、サツドラさんに力添えを頂いています。

スマホ教室やフィットネス、様々な取り組みをされていますが、一番効果があると実感された取り組みはありますか?

照井氏: 江差EZOCAの導入は一番大きかったと思います。町の商業機能が落ち込んできている中で、地域の商店街と連携してできる仕組みは、行政、住民、そしてサツドラさんのそれぞれに効果をもたらしています。人口7200人の町で約5000枚(2021.10現在)の発行枚数を数えるほど普及が進んでおり、新たに加盟したいという店舗も現在進行形で増えていることからも、住民だけではなく店舗側の期待も高いことがわかります。
サツドラさんは人口減少や高齢化だけではなく、コロナ禍も迅速にサポートしてくださいました。ワクチン接種で薬剤師を派遣してくださったのもそうですが、遠くに住むお子さんやお孫さんとなかなか会えない高齢者の方に向けて連絡手段を習得するためのスマホ教室を開いてくださいました。このようなサツドラさんの協力を江差町の住民は非常に嬉しく思っていますし、自分たちの生活にプラスになっていることを実感していると思っています。

富山: 江差町で推奨アプリとなったサツドラウォークは、健康ポイントのようなはたらきもしているんですよね。このアプリは歩数に応じたマイルが貯まる仕組みで、マイルはEZOCAポイントに転換できます。つまり、歩けば歩くほどめぐりめぐって町に還元されるということになります。EZOCAのデータとも組み合わせて医療費の相関性を分析したり、KPIを設定し数値をウォッチして、成果を認識できたら良いなと思っています。

同じ課題を持つパートナーとして、北海道を発展させたい

どうしてこの取り組みを始めたのでしょうか?

富山: 北海道は2025年になると、人口5000人以下の町が過半数以上になります。国土交通省によると、5000人って様々なビジネスやサービスが成立するボーダーラインで、これを下回ると成り立たなくなる仕組みが無数にあるんです。我々のサービスもそうですし、行政もやりづらくなることがたくさん出てきます。北海道で商売をしている以上、人口減少が引き起こす課題は解決していくべきことだと思いますし、これまでのドラックストアという枠を超えて、サツドラからいろんなサービスをご提供していきたいと思っています。

「ドラックストアの枠を超える」とありましたが、詳しく教えてください。

富山: 「ドラックストアから地域コネクティッドへ」というのは、ドラックストアをやめるという意味ではありません。我々の店舗を「多くの生活者が日常的に訪れる場所」と考えると、それだけ多くの方と頻度の高い接点を当たり前のように持てている、という価値があるとも言えます。その価値を事業として活かすことができると気付き、我々は北海道の持つ課題を解決しながら、ビジネスやサービスに変えていこうと思っています。
現在、江差町では移動課題解決に向けてMaaS(※)に取り組み始めています。まだ実証実験の段階ですが、いずれは社会実装までやっていきたいと思っています。そういう意味では、江差町さんの課題を解決しながら、我々の理想への挑戦をさせていただいていると言っても過言ではありません。

照井氏: サツドラさんが地域課題に関心を持たれているのを強く感じています。
江差町としても、江差EZOCAから地域に還元していただいたものはさらにまた町民の健康増進のために還元しています。例えば、定期検診に来た方にはEZOCAポイントを付与し、それをまた買い物に使ってもらって、それが地域に還元されて…というように、良い形で循環しているんです。
MaaSに関しても、江差町は鉄道がなく、路線バスとタクシーか福祉事業の送迎のみで、十分な公共交通とはいえません。高齢化率が高いので運転ができない世代も多くなっていきます。更に立地的に冬場は吹雪の日が多く通院や買い物が困難なため、公共交通を建て直さないと長らく住める環境ではなくなってしまいます。

MaaSでは、どのように貢献していこうとお考えですか?

富山: 本当にこれからですが、MaaSもEZOCAを使ったキャッシュレスの仕組みに挑戦しようとしています。
江差EZOCAの普及率が高いことが大きいんですよね。人の生活って、全てつながっているので、パーツが分断されると効率が悪くなってしまうんですよ。だからベースをつなげることで、人口が少なくなったとしても成立する仕組みになると考えています。EZOCAがそのベースになり得ると思ってますし、江差町さんと民間企業、お互いの強みを活かしながら町の仕組みにしていきたいですね。

最後に、地域コネクティッドのゴールはどんなものだとお考えですか?

富山: この地域コネクティッドの取り組みはどちらかが依存する関係ではありません。地域の発展なくしてサツドラの発展もないと思っているので、同じ課題を持つパートナーだと思っています。
いま、日本全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれていますが、小さな町こそDXが必要だと思っています。
現段階では、江差町との地域コネクティッドはマイナスをゼロにする課題解決にフォーカスしていますが、次のステップはゼロからプラスにしていくこと。江差町さんとサツドラとの取り組みが、日本のDXの一助になればいいなと考えています。

MaaS、そして他地域へ…地域コネクティッドのその先

人口減少や超高齢化に向けた取り組みだけではなく、コロナ禍の急を要するような施策においても意思決定の軸となっていた地域コネクティッド。サツドラホールディングスグループの従業員たちがプライベートで江差町に赴き海辺のゴミ拾いをするなど、ビジネスを越えた関係性が構築されています。

サツドラグループ全体では、今後、公共交通空白地帯の解消を目的に、EZOCAをベースとしたキャッシュレスの仕組みを取り入れたMaaSに本格的に取り組みます。急速な人口減少や超高齢化、それに伴う様々な課題は、江差町だけではなく北海道・全国の市町村で共通の課題。この取り組みで重ねた経験や実績は、他地域へのモデルにもなり得るはずです。まさに、地域コネクティッドビジネスが、北海道を、日本を変えていく。その一歩が、江差町との取り組みなのです。

MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、ICTを活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体に関わらずマイカー以外の全ての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念のことです。2020年11月に、サツドラHDは、株式会社駅探、株式会社未来シェア、公立大学法人公立はこだて未来大学、公立大学法人札幌市立大学とMaaS事業展開に関わる業務提携を締結し、北海道地域におけるMaaS事業を推進しています。

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