TCFD提言への対応

「地域をつなぎ、日本を未来へ」をコンセプトに企業運営を行うサツドラホールディングスは、気候変動の問題が深刻化していくなかでもお客さまのくらしを支える商品やサービスを提供し続ける責務があると考えております。今後もTCFD提言に対応したリスク・機会の分析とガバナンス体制の整備、開示内容の拡充を通して地域と経営の持続可能性向上に努めてまいります。

戦略

気候変動によって起こり得るリスクと機会 時間軸 影響度 サツドラがとり得る対応
リスク 移行
リスク
規制 ・炭素税の厳格化に伴う調達、輸送等のコストの増加
・プラスチック汚染防止に向けた規制強化に伴う調達コスト、プラスチック回収コストの増加
・静脈物流網の構築による輸送コストの最適化
・プラ減量商品の仕入れ、販売促進
・輸送大手との協働等低炭素輸送サービスの活用
法的 ・フロン規制強化による店舗のノンフロン設備等への投資コスト増加 ・店舗設備仕様の見直しによる投資コストの最適化
・店舗作業の効率化、DXの推進による店舗運営コストの削減
・ノンフロン等省エネ設備の店舗導入
テクノロジー ・eコマースの需要増に伴う物流での二酸化炭素排出量の増加
・再エネ/省エネ技術への対応の遅れ
・取引先物流企業とのCo2排出抑制策や効率的な物流網構築の検討と実行
・物流網の効率化による配送車両数の削減
・店舗とオフィスでの使用電力の再エネ転換
市場 ・ESG格付の低下に伴う資本コストの増加
・低炭素製品・サービスへの需要の転換に伴う対応の遅れ
・戦争など政治リスクに伴う燃料価格高騰
・仕入れ先のメーカー/卸各社との連携による低炭素商品、サービスの仕入れ、販売促進
・ESG情報の開示と開示内容の高度化
評判 ・気候変動対応が不十分と判断された時の
- 取引先との協働機会の損失
- 消費者からの店舗選択の忌避
- 優秀な人材の獲得能力の低下
・ESG推進体制構築による気候変動リスクへの活動計画立案と遂行、情報開示の強化
・プラ回収等を含む取扱い製品メーカーとの協働強化
物理
リスク
急性 ・洪水、台風等の自然災害に伴う店舗稼働の停止
・自然災害による店舗や配送センターへの損害に対する保険や修繕費の増加
・停電による食品の腐敗での在庫損失
・サプライチェーン混乱による物流の停止
・地域旗艦店への自家発電設備の設置、備蓄
・全従業員対象の安否確認システム/アプリ運用による緊急時の人材確保
・天災に備えた店舗保険の加入
慢性 ・物流の停滞に伴う調達コストの増加
・平均気温上昇に伴う作物の収量低下と、調達コストの増加
・平均気温上昇に伴う空調利用の増加と光熱費の上昇
・気象の極端な変化や感染症の蔓延に伴う店舗来客数の減少
・小商圏フォーマットの確立による輸送、物流の効率化
・店舗設備の省エネ化
・自社除雪機能設備強化による来客利便の確保
・感染症防止および発症時の消毒体制とマニュアルの作成
・オンライン診療、ECなど複数チャネルの構築
機会 資源効率 ・省エネ強化による電気料金の抑制 ・店舗設備の省エネ化による利益体質の強化
製品と
サービス
・気候変動による疾患に対する薬の需要増加
・北海道地域サプライヤーでの農作物の収量増
・気候変動や防災意識の高まりに対応した商品の供給
・道内企業ネットワークを通じた競争力の高い道産生鮮食品の販売
市場 ・地産地消や有機野菜需要の増加
・カーボンクレジット創出プロジェクトの需要増
・気温上昇に伴う北極海航路の利用活発化による北海道地域の経済成長
・北海道を地盤とするEZOCA経済圏の拡大を通じた地域プラットフォーム戦略の前進
・生鮮食品の取り扱い増加による顧客利便の向上
レジリエンス ・地域サプライヤーとの協働によるレジリエンスの高いサプライチェーン構築 ・江差町に代表される収益循環型協働スキームの横展開と、それを通じた持続性の高い地域ビジネスモデルの確立

※移行リスクは1.5℃(IEA(国際エネルギー機関)のNZEシナリオ参照)、物理リスクは4℃(IPCC第5次報告書 RCP8.5シナリオ参照)、機会は両シナリオを想定しております。

ガバナンス

気候変動に対するガバナンス強化の一環としてサステナビリティ委員会を設置し、気候変動に関するリスクや機会に対する対応策の議論や検討を行い、年1回以上取締役会に活動報告を行います。取締役会は報告を通して上記対策の現状を定期的に把握し、これらによる事業運営や財務へ影響に対する監督を行っていく予定です。

リスク管理

リスク管理については、これまでも地震等の天災や感染症に対する対応マニュアルを作成し社内に周知徹底しておりました。今後はガバナンス体制をさらに強固なものにするため、事業影響の大きいリスクの洗い出し、評価のプロセスを整理しているところです。改定後のリスク評価・管理のプロセスについては、決定次第開示を進めてまいります。

指標と目標

サステナビリティを巡る課題とその対応について、ステークホルダー/当社それぞれの軸で整理した上で、特に重要な課題をマテリアリティとして特定し指標と目標を設定致しました。併せて2021年5月期より当グループのScope1+2排出量の計測を実行、開示しております。今後も上記の確実な実行並びに進捗/結果の開示を推進してまいります。